Naoko Spot Light

スポット・ライト


110バージョン

対談 YOU (FAIRCHILD)



 

 1990年5月 不思議な魅力のあるYOUに始めは少しとまどいがちだった河合奈保子。 だが、次第にYOUのあっけらかんとしたペースにノセられて笑い声の耐えない生き生きとした対談となった。 それぞれ音楽のスタイルは違っていても、どこか通じるものがあったのではないだろうか。 河合▼突然なんですけど、私が大阪のラジオ番組をやっていた時にゲストで来て頂いた時、ワニをスタジオに    持っていらしたことありましたよね。 YOU▼あの時、持っていったんですよね。 河合▼ええ、まだ飼い始めたばかりとかで。 YOU▼そう、まだ30センチくらいのとき。 河合▼なんで飼おうと思ったんですか。 YOU▼一人暮らしだからなんか飼いたいと思ってて、猫とか犬だといつも一緒にいてあげないとかわいそうでしょ。    世話とかもできないし、留守は多いし。それで図鑑が好きなんでよく見てたんですよ。    そこでワニはかっこいいなって思って、友達に爬虫類屋さんを紹介してもらって、    行ったら一万二千八百円で売ってて「よし」とか思って衝動員いしちゃったんですよ。 河合▼うちはイヌを飼ってるんですけど、家族の一員というか、人間みたいな感覚なんですよ。    ずっと一緒にいるとわがままだとか、さびしがりやとか性格みたいなものが分かるんですけど    ワニの場合はどうなのかしら? YOU▼独立してますよ、すごく。イヌとかだとこっちがマーボー豆腐食べてたりして「食べな」とかいうと    食べるじゃないですか。でもそういうのないんですよ。金魚しか食べないし、    必要以上にゴシゴシ洗ったりすると怒るし、そういうところははっきりしてるんですよ。    最近は自分が餌をもらっているっていうことは分かったみたいで「ごはんですよ」って言うと寄ってきたりして。    夏は部屋に放して一緒に寝たりとかしますけど、イヌと違って会話は生まれませんね。 河合▼そうですか。話は変わりますけど、YOUさんの声質ってすごいチャーミングですけど、昔から変わらないんですか。 YOU▼声はぜんぜん変わらないですね。体ばっかり大きくなって。高校の時とかすごいコンプレックスがあったんですけどね。 河合▼コンプレックスっていうと? YOU▼やっぱり変でしょ、こんな声。道で話して歩いてると、振り向かれたりとかして結構、無口だった時期とか    ありましたけど、もう気にならなくなっちゃいましたね。 河合▼でも、すごい可愛いですよ。 YOU▼いや〜、声は本当変わんないですからね。 河合▼今、3人で活動されてますけど、デビューのときからですよね? YOU▼そうです。他のバンドと違って3人で過ごしたアマチュア時代っていうのがないんですよ。    会ってすぐレコーディングという感じだったんです。でも曲とかは会ってから作ったんですが…。 河合▼あの「UKULELE」っていうアルバムが3枚目でしたっけ? YOU▼そう、わりと早いんですよ、1年半の間に3枚ですから。 河合▼そうですよね。だいたい3人で作品づくりをするんですか。 YOU▼そうです。曲はだいたいギターが書いて、歌誌は私が半分くらい書いたかな。わりと身近なものが好きなんで、    詩はしゃぺり言葉で書いちゃうことが多いから、乱暴なんですけどね。 河合▼私の場合、詩は書いて頂くんですけど、あらかじめテーマがあって、    今やってるやり方はほとんど曲が先でそれに詩をのせるんです。    でも、次からはまたいろんなことをやっていきたいと思っているんですよ。 YOU▼じゃあ、わりと最初からコンセプトみたいなのがあるんですか? 河合▼そうですね、こういった形でやっていきたいっていうのはあります。    でもそこから何かひとつ加えようとか、これは除こうとかいろいろ提案し合っていくんですよ。 YOU▼うちなんか作る前はなにもないですからね。『UKULELE』なんかは作り初めてもう散々スタジオに入った時点で、    私が実家に行った時に、ウクレレがあったんですよ。    それをスタジオにもってきて弾いてたら使っちゃおうかっていう話になって、なんのコンセプトもないですからね。    曲もないんですもん(笑)、無茶苦茶ですよ。 河合▼でもペースが早いですよね。バンドの中でどんどん次を作っていこうっていうのがあるんですか。 YOU▼なんなんだかね、誰が言い始めたか、誰の意思だかもわかんないんですよ。私はレコーディング大っきらいなんですよ、    だから自分から言い出すことは絶対ないし…。 河合▼じゃあ、わりとアウトドアなのかしら。旅とか「あちこちどこかに行っちゃおう」っていうのがあるんですか? YOU▼行っちゃいますね。泊まるとこ決めないで行くからひどいですよ。    プライベートでも計画というものは一切ありませんからね。 河合▼そうすると、仕事はスケジュールがある程度決まってますよね、そういうのだめじゃありませんか? YOU▼結構いやですね。だから忙しいのもレギュラーじゃないお仕事がつながってる方がぜんぜん好き。    毎週やってると、大抵1ヵ月で飽きますからね。 河合▼決まりごとというか、形があるとだめなんですか? YOU▼そうですね。あとは壊すしかないですからね。 河合▼わかるような気がします。衝動的に、なにかがやりたくなったときとか、結構私なんかもあります。    「これ、なんかうまくいかないなあ」と思っちゃうと、自分の中でうまくかみ合わなくなって、    次は、とてつもなく違うことをやってみたくなるんですよね。 YOU▼そうそう。私はなににつけても飽きつぽいんですけどね。でもレコーディングは…ウチは打ちこみなんで、    リーダーは好きだからずっとやってるんですよ。その間、私はいりませんからね、スタジオに行きませんもん。    家でさんざん寝てて、夕方行って「ふーんこういう風になったんだ、あの音いやー」    とか好きなこと言ってるんですよ。 河合▼私は打ち込みより生の音が好きで、バンドの人たちの演奏してる時の顔とか、    その独特な雰囲気が好きなんですよ。その中でなんか自分で感じられるものがあるというか…。 YOU▼やっぱ、人が来てやってくれると全然ちがいますよね。    やっぱり、まだコンピュータに偏見もってるのかもしれないけど、    私はまだ、リーダーの打ちこんだ音に愛情がもてるほど、聴いてないんですよ。    だから、行かないんでしょうね、スタジオに。 河合▼やっぱり生の方がいいと? YOU▼私も本当はそっちの方が好きなんですよ。    ただ作業上や音の問題がそのほうがクリアであるならばそれでもかまわないと思うんですよ。    3人でやる場合にどうなのかっていうと今の形が一番だから。